アメリカの国防総省が、調達する装備品の耐久性能を示した基準である「ミルスペック」規格。その規格に通ったものは、非常にヘビーデューティーで、破損や故障といったイメージとは程遠い物に仕上がっています。
もちろん自衛隊にも、同様の基準があり、隊員が使う入れ物やバッグには、厳しい規格を通った物が使われています。今回ボストンパックに使った六号帆布は、防水のためのパラフィン(ろうを染み込ませた)加工をしており、非常に硬く頑丈な生地になっています。
こちらの生地、基本的にはこのOD色(オリーブ)とあと1色しか用意されていません。それは民生用に使われることを考えていない、自衛隊専用だから・・・。通常の帆布とは異なり、ホンモノの皆さんの要求に応えた生地なんです。
今回は、その六号パラフィン(いわゆるバッグ縫製に向いていない超硬めの生地)を使って、ボストンバッグを作りました。
ボストンバッグとは、大正時代に日本に入ってきた鞄で、アメリカ「ボストン大学」の学生が、重い教科書を運ぶために使ったとされる、丈夫なカバンが由来となっています(それゆえ和製英語なのです、英語ではトラベリング・バッグが最も近いでしょうか)。
板のように硬い帆布と、これまた丈夫なブーツ用のオイルドレザー(牛革・姫路なめし)を組み合わせて、1〜2泊程度の旅行に丁度いいサイズの鞄となりました。
旅に行くたびに刻み込まれる、シワやチョーキング(ロウの擦れた跡)を、自分なりに育てて楽しんでください。
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