アメリカの国防総省が、調達する装備品の耐久性能を示した基準である「ミルスペック」規格。その規格に通ったものは、非常にヘビーデューティーで、破損や故障といったイメージとは程遠い物に仕上がっています。もちろん自衛隊にも、同様の基準があり、隊員が使う入れ物やバッグには、厳しい規格を通った素材が使われています。
緑色をした生地は、屋島工房おなじみのパラフィン(蝋による撥水)加工をした帆布生地。素材は綿でありながらも、自衛隊御用達のお墨付きをもらった強靭な材料です。綿ならではの肌触りと、使い込むほど魅力が増すエイジングが楽しい素材でもあります。今回は、帆布の硬軟を適材適所で使い分け、6号と10号の帆布を組み合わせています。
このバッグの企画の出発点は、以前に発売したハイブリッド・トート。少し小さめでバランスが良く、スタイルは抜群でしたが、男性が使うバッグとしては、少々容量不足気味でした。そして、バッグの最上部をスナップボタンで止めるタイプとしていたため、振りまわしたり(・・・しないか)、海外の雑踏(・・・行かないか)、では少し心配になりました。
そんな前回のトートの反省も踏まえ、男性向けの新しいトートを作ることになりました。大きさは、縦でも横でもA4のファイルが入る大きさに。サイドのマチもたっぷりと取って、仕事道具と一泊ぐらいの着替えなども入る大きさとしました。
新作なのは、トート入口のフタ。ファスナーで閉じてしまうのは、当たり前すぎる・・・。しかも開口部を大きくとろうとすると、ファスナーのエンドが左右に垂れて格好悪い。そんな時思いついたのが、紙封筒のフタ。世の中にありふれたトートバッグと一線を画すために、曲線を用いた格好良いフタが出来上がりました。これで中身がこぼれることも無く、サイドのベルトによって開口部も大きく、簡単にバッグの中の隅々までアクセスできます。
持ち手の内側にも、本体と同じ大きさのポケットが前後に有り、前面には長財布が横に入るポケット。サイドには、大型の携帯電話が入るポケットを左右に用意しています。
素材は基本パラフィン加工の帆布ですが、強度の必要な部分には、国内産のブーツ用オイルドレザーを採用。まさに「質実剛健」という言葉が相応しい、思いの詰まったトートバッグが出来上がりました。
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